ProgressionによるFlashコンテンツ開発ガイドブックのすすめ
ProgressionによるFlashコンテンツ開発ガイドブック を献本いただきました。ありがとうございます。もともと購入しようと思っていましたが、期待していた以上に充実した内容に驚きました。
Progressionは想定してるユーザー像が幅広く、実際さまざまなタイプの用途やスキルの人が興味を持っていたり使っていると思いますので、本書の見どころを各シチュエーションごとにまとめて紹介したいと思います。参考になれば幸いです。
全体の構成
- インストールと重要パネルの説明(Progressionのインストール重要パネルの説明 ほか)
- スタイル別に簡単なプロジェクトを作る(Progressionの開発スタイルと開発の流れコンポーネントスタイルでの開発 ほか)
- Progressionをもう1歩詳しく知ろう(Progressionの全体像を把握するProgressionの環境設定 ほか)
- 応用テクニック(コンポーネントの使い方
コマンドの使い方 ほか)
まず1章で取り扱い説明書的な基本操作や構成について触れられています。
2章でサンプルを通して、各制作スタイルごとに通常の作業をProgressionで行う方法を一通り学びます。
3章ではProgression4の骨格となる各機能、シーン、コマンド、キャスト、マネージャーについて解説が書かれています。
4章でコマンドの作り方やSceneLoaderなどかなり細かいカスタマイズや使い込みのためのTipsがまとめられてます。
網羅的にまとめられており、すでに使ってる人にとっても「説明書」としてうってつけの内容です。
簡単にFlashをつくりたいひとへ(初級~上級)
Flashを使っている人であれば、使い道にかかわらずもっと手軽に作りたいと思っているはずです。
- これからFlashを勉強するための手掛かりにしたい。
- Flashは使えるがFlashサイトを一人で作ったことがない。
- Flashサイトは作れるがもっと効率よく作りたい。
- ASで書く前にプロトタイプを短期間で作りたい。
こんな要望には、2章のコンポーネントスタイルをお勧めします。
ここでは(Progressionによる)ボタンの作り方、ムービークリップの作り方、プリローダーの作り方などカスタマイズしたい部分を中心に、Flash本来のつくりに沿ってProgressionを使った場合の簡単な方法が丁寧に書かれています。
初心者~中級者にとってはもちろん、FlashやActionScriptでバリバリ開発できる人にとっても、スピーディーで手軽に使える点はとても有益だと思います。プロトタイプやモックアップを作るのに活用してはいかがでしょうか?
他にも1章のプロジェクトパネルや2章のシーンパネルの部分などにも案外知らない機能があったりするのですでに使ってる人も復習を兼ねて読み直してはいかがでしょうか?
- デザイナーさんが自分のポートフォリを簡単に(でもデザインは自分で」)手軽に作りたい。
- プランナーさんが簡単にプロトタイプFlashを短期間で作りたい。
- スライド資料をカッコよく(短期間に)つくりたい
また上記のように他業種、Web以外のシチュエーションでも活用方法があるのではないでしょうか。
Flashを作るために便利だけでなく、Flashを使って便利という魅力もProgressionにはあるような気がします。
Progressionをもっと使いこなしたいひとへ(中級~上級)
使っているがわからない、あいまいなところがある。知らない機能がまだありそう。ということでもっと使いこなせたら、と思っている人も多いと思います。
そういう人は2章のタイムラインスタイル、クラススタイルを復習しましょう。いままで簡単な使い方はオンラインにありましたが、あらためてきちんと整理されてすごくわかりやすくなりました。
RollOverButtonコンポーネントやInOutMovieによるタイムラインをつかったボタンアクションの設定の仕方、シーンの設定やコマンドによる細かいシーケンスの設定方法が書いてあります。
僕もタイムラインスタイルで発見があったのが次のところです。
タイムラインにシーンを生成し、シーンインスタンスのonSceneInit にイベントハンドラを設定しますが、この中でクラススタイルのようにaddCommandによるイベントの同期ができるのは知りませんでした。(単に使ってなかっただけですが)
var titleScene:SceneObject = new SceneObject("title"); titleScene.onSceneInit = function():void{ this.addCommand( new Prop(logo,{alpha:0, x:10,y:10}), new DoTweener( logo, { alpha:1, time:1 } ) ); }
各スタイルに応じて、必要なことが網羅的に書かれているので全体から各機能を把握しやすいし、対応して他のスタイルも学びやすくなっているので普段つかわないスタイルもみてみると勉強になると思います。
全体像という意味では3章がProgression自体の内部構造を説明してるので合わせて読むといいかもしれません。
Progression4の詳しい機能を知りたい人向け(上級)
一通り作れるようになっても、フレームワークは普段の使いみち以上のことは触らなくても何とかなる半面、知らない機能は永遠に気付かないということもあります。
詳細な機能はヘビーユーザーのブログなどで紹介されない限り埋もれがちでしたが、本書ではそれがもれなく紹介されています。
使い方としては機能リファレンスとして必要な時に調べるかんじになりそうですが、おそらくすでにProgressionを使っている人にはここが一番有益じゃないでしょうか。特に「わからないことは本で調べたい派」にはありがたいセクションだといえます。
量が多いので個人的に参考になった節だけ箇条書きにしてみます。
- コマンドのエラーを処理する
- コマンドの実行場所によるスコープの違いを理解する
- シーンと連動したコマンドの使い方
- カスタムコマンドをつくる(タイムライ編)
- コマンドリストに割り込み登録する
- ShjuttleListコマンドをつかって、コマンドを繰り返し実行する
- 出発地や目的地に応じて動作を変える
- 特定のシーン以下を外部SWFファイルとして構築する(シーンローダー)
- 複数の読み込みコマンドを一括管理する
- Resourceクラスをつかって、外部から読み込んだファイルを参照する
- Progressionの実行状態を監視する
- 各種インスタンスの参照を取得する
- クエリを使う
- 外部HTMLと連携する(HTMLInjection)
- シーン移動時の同期コマンドを操作する
- Progressionアイドリング時に、データの先読みを行う
まとめ
こんな感じで長々書きましたが、一言で言うと、「Progression(Flash)を使い始めるための本であり、使い続けるための本でもある」頼もしい存在であるということです。初版は誤植などもあるそうですが重版も決まったそうなので、これから検討してる方は是非書店で手に取ってみてはいかがでしょうか。